B豊橋公園 (愛知県 豊橋市)

             〜豊橋公園で環境について考える。の巻〜
 
  
 豊橋鉄道 市内線 市役所前より徒歩3分。豊橋鉄道バス 市役所前より徒歩5分。駐車場あり。
 
 右写真:豊橋鉄道の路面電車。大人料金は全区間150円。
     (料金については変更の可能性がありますので、ご確認ください。)
 
 
 ヤクシマルリシジミと吉田城:2010.6
  
豊橋公園はエノキやアカガシなど樹木が多く植えられていて、蝶はゴマダラチョウやムラサキシジミ、アゲハチョウの仲間など、意外と多くの種類が見られます。公園の東半分には、野球場や陸上競技場、市民プールなどがあって人が多いので、バタフライウォッチングには西半分が適していると思います。

残念なのは、定期的に殺虫剤が散布されることで、これは悲しい限りです。(T_T)
・・・と思っていたら、アトピーのお子さんを持つ人たちが公園での散布に反対している、という新聞記事を見つけました。殺虫剤とアトピーに関係があるのかどうか私には分かりませんが、毒性のある物質を空気中に放出しているわけですから、それに反対する気持ちは分からないでもありません。
しかし、虫が可哀想だからという理由で反対している人間は、私ぐらいなものでしょう(笑)。
 
   
 左写真:越冬前、日光浴するムラサキツバメ(2007.11)
 右写真:クローバーで吸蜜するサツマシジミ(2010.6)
 
近年この公園で見かけるようになったのが、生息地域が拡大しつつあるという南方系のシジミチョウの仲間です。

ムラサキツバメは、古い図鑑を見ると三重県以西に生息していることになっていますが、今では関東地方まで生息域を広げているようです。温暖化と関係あると言われていますが、食樹のマテバシイの木が各地の公園に植えられたのも一因のようです。ちなみになぜ植えられたかと言えば、大気汚染や塩害に強いからだそうです。
ただ、不思議なのは食樹のマテバシイやシリブカガシがこの公園内に見当たらないことで、一体どこにあるのか捜索中ですが、なかなか見つけられません。彼らは越冬前に移動する性質があるようなので、近くの街路樹か何かで発生したのが飛んで来るのかも知れません。

ヤクシマルリシジミも紀伊半島が分布の東限(北限)だったのですが、もうすっかりこの地域の住民です。幼虫はバラ科の植物の花、蕾、果実を食べるということなので、調べてみると、食樹のノイバラが朝倉川や豊川沿いに、イスノキが公園内にありました。気温さえ上がれば生息地となる要素があったわけです。

2010年にはサツマシジミまで見られるようになりました。やはり温暖化の影響と思われます。
 

 左写真:イチモジフユナミシャク(2011.1)
 右写真:シロオビフユシャク(2009.1)
 
さて、逆に温暖化の悪影響を受けそうなのが、この公園にも生息しているフユシャクの仲間です。

冬の蝶は越冬のためじっとしたままですが、彼らはまさに冬が本番なわけで、寒風吹き荒ぶ中での出会いはある意味感動的でさえあります。
現在私が確認できているのは、シロオビフユシャク、イチモジフユナミシャク、ウスバフユシャクの3種です。いずれもメスは羽が退化して飛ぶことが出来ないので、周りの自然から隔離されているこの公園で生き残っているのは奇跡的だと思います。彼らは温暖化が進めば全滅する運命にあるのかもしれませんが、せめて1年でも長く生き残って欲しいと願わずにいられません。やはり殺虫剤の散布は最小限にしていただきたいものです。
 
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